2022
05.02

「庭野日敬開祖随行記」 第6回

分かち合い

第6回 「背中も大事」

 開祖さまのお言葉を、私は今も忘れることができません。
 それは「平成6年次 教団幹部指導会」のご法話です。著名な仏師の方が、ある人に仏像を彫るときいちばん難しいのは仏さまのお顔ですか?と尋ねられて、「いや、背中です」と答えられたというお話です。
 浅はかな私は、仏像の背中は見えませんし、ほとんどの人は見ようともしないので、手を抜いても問題ないでしょうと、一瞬思いました。
 しかし、背中が大事である理由について、開祖さまは「その見えないところこそが大事だというのです。心を込めて、その背中を彫ってこそ、正面から見るお顔も、全体のお姿も、おのずと手を合わさずにいられない、命の通う仏さまになるというのです」と教えてくださいました。
 このことから、何事も表裏一体であることを忘れずに言行一致する人になろうと、私は起請しました。そして、佼成会で「後ろ姿で導く」と教えられている意味を反芻したのでした。

筆者紹介

 佐藤益弘(さとう・ますひろ)
「六花の会」共同推進責任者のひとり。26歳から41歳までの15年間、庭野日敬開祖の秘書を務める。その後、湘南・富山・福井・京都教会長を歴任。2013(平成25)年、西日本教区長・理事(京都教会長兼務)に就任し、2019(令和1)年から教団常務理事。