2024
06.01

お役と塾講師 どちらも〝私″

分かち合い

お役と塾講師 どちらも〝私″
立正佼成会高岡教会支部長南雅子さん/「南学習ゼミナール」塾経営
「佼成新聞」3月25日付掲載

 南さんは、自宅の敷地の一画で学習塾を営む。週6日、夕方から小・中学生に英語と算数、数学を指導する。さらに朝から塾が始まる夕方まで支部長として布教に歩く。今年1月の能登半島地震では発災後、すぐに会員宅を訪ねて回り、無事を確認しては、ほっと胸をなで下ろした。
 精力的に動く南さんだが、5年前まで仕事と役の両立に悩んでいた。当時、主任を拝受して間もない南さんは学習塾の準備が忙しく、会員への細やかな手どりができず、負い目を感じていた。周囲から「塾をしていて、お役がおろそかになってない?」と指摘されたこともあった。厳しい言葉は、多忙な自分を心配してのことと理解できても、どうすべきか分からない。仕事と役の両立を意識すればするほど、追い詰められた。
 その頃、追い打ちをかけるように、少子化の影響で児童・生徒数が減り、入塾志望者が集まらず経営難に陥った。南さんは法座で、「塾もお役もうまく回らない」と苦悩を打ち明け、山中快之教会長(当時)に助言を求めた。すると、教会長から一冊の本、『庭野日敬 経営者心得帖』を渡された。夢中になって読むと、「仕事と信仰を別物と考えるから、両立などという言葉が出てくるのです。仕事と信仰は一体でなければなりません」という一節に、息をのんだ。〈お役も塾講師も全てが〝私″なんだ〉。さらに読み進めると、リーダーとして一番に求められる資質は「思いやりのある人間」と書かれてあった。〈それなら私にも〉と、ふっと心が軽くなった。
 その後、わずかな時間でもサンガの元を訪ね、近況を聞き、悩み事があれば、共に解決の糸口を探った。そうした積み重ねがサンガとの絆を強め、南さんは主任を3年間経験した後、支部長を拝命した。
 現在、塾には不登校や発達障がいの生徒も通う。一人ひとりに寄り添うために、何気ない会話を心がける。「成績も大事ですが、生徒が自分の良さに気づき、肯定的に人生を生きてくれることが一番の願いです」。それは支部長としても同じ。相手の持ち味を生かすことに何よりの喜びを感じる。