06.29
陰徳を積む 須見医院 院長 須見 昌央さん(徳島教会「六花の会」代表世話人)
徳島県の北東に位置する石井町で医院を開業し、32年になる。当初は、外科医の義父、歯科医の義姉、薬剤師の妻との共同経営で、婿養子の須見昌央さんは循環器と内科の医師として従事した。
医院は入院19床の鉄筋コンクリート3階建て。エレベーターや厨房、歯科診療室、物療室などを擁した。設計から開院の手続きは、すべて義父の考えに従ったが、その義父は開院後に体調を崩す。立派な設備を備える一方、数億の借金を抱え、経営者としての苦難が立ちはだかった。
評判の悪い古参の看護師も悩みの種だった。口が悪い上に、人の好き嫌いが激しく、意に沿わない患者や職員にひどく当たり散らすのだ。通院者からは「患者がよそに流れてるよ。あんたがちゃんと教育しないからだ」と言われた。
平成10年、義父が他界した。その前年には義母が急死。一人で経営すると、入院部門が赤字に転落した。
「もう、どうにもならないと絶望感にさいなまれました。そんなとき、自分が変わるしかない!それには陰徳を積むしかない!と、心の叫び声が聞こえたのです」
教会幹部からも、毎朝、医院の玄関と外来トイレを掃除するよう助言を得ていた。早速、取り組むと、近所の人から「掃除は看護師にさせないとあかんで」と言われた。
「この掃除は自分の根性磨き。自分の修行と受け止めて取り組みました。赤字に気を取られている注意散漫の心を変えたい!一人ひとりの患者さんを大切に診療したい!という思いでいっぱいでしたね」
陰徳を積むことを決意すると、次から次に依頼ごとがやってきた。地元医師会の会計、県立看護学校の非常勤講師、福祉事務所の嘱託医、さらには、介護認定審査会の委員等々。なかでも医師会の会計は多忙を極めた。役所をはじめとする提出書類に手間と面倒がかかるからだ。
「他の先生方のご苦労を考えると、代役をお願いすることはできませんでした。これは自分の奉仕だ!これで徳分を積ませていただけるのだ!と受け止めました。もう20年近くなりますね」
ある日、須見さんが教会の宿直当番から帰宅すると、「入院部門をやめよう」とひらめきが起こった。空いた病棟の有効利用を縁のあるNPO法人に相談すると、とんとん拍子で話がまとまった。いまでは地元住民の助け合いや福祉活動の拠点となっている。
平成26年に無床診療所として再スタートすると、評判の悪い看護師は円満退職となった。様々な改善に取り組むと、経営は上向きになった。
「入院部門に伴う経費が大幅に削減でき、収支が大幅に改善できました。さらには時間的にも気持ちの上でもゆとりが出てきました。この機会を待っていたかのように、教会壮年部長のお役を拝命しました」
須見さんの立正佼成会の原点は、出身地である千葉県茂原教会での中学生練成会だ。唱題修行後、親不幸の懺悔を涙ながらにすると、スタッフの青年部員が強く抱きしめてくれた。このときの爽快感と感動は、いまも鮮烈に覚えているという。茂原教会では、自ら誓願して高校部長を拝命。徳島大学医学部に進学してからも、徳島教会で高校部長を拝命した。
須見さんはいま、徳島教会の最大課題である青少年育成に取り組みたいと願っている。自身が体験した感動を、一人でも多くの青年に味わってもらいたいと願うからだ。
「これからの青少年育成は、インターネットや英語を駆使し、まったく新しいスタイルが求められます。青年との関わり方や育成の智慧を六花の会で学びたいです。そのためにも、生涯現役として精進させていただきます」
ご連絡先
須見医院 https://rwd.55web.jp/sumi/index.html
内科、循環器内科、小児科、リハビリテーション科
※須見さんとのビジネスをご希望される方は、電子メール(sumimasao@gmail.com)にご連絡ください。その際、立正佼成会「六花の会」の○○です、とお伝えください。