2024
09.20

東京西支教区「六花の会」豊島教会 長島康雄

分かち合い

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会社とのご縁

 私は1956年(昭和31年)10月19日に長島家の長男として生を受けました。 当時から祖母、母が佼成会の豊島教会に入会しておりましたご縁で、高校に入学してから間もなく、先輩方に手取りしていただき、高校部活動に参加するようになりました。
 高校を卒業と同時に高校生担当というお役をいただき、高校生とともに手取り、法座、早朝清掃などの活動に取り組み充実した大学生生活を送っていました。また様々な高校生との出会いを通じ、時には高校生の抱えている家族や友人との悩みを聞かせていただき、一緒になって悩み、考えそしてご法に則った実践を通じて解決策を見いだし、結果によっては涙を流したり、あるいは喜んだりしていました。
 また、素晴らしい先輩方とも出会いご法を教えていただき、何よりも開祖様の「人を救い、世を立て直す」という大きな願いと世界の平和を目指す大き な目標に心を打たれ、少しでもお役に立てる自分になりたいと思うようになりました。
大学3年生の時、今後の進路について考えた結果、学林を目指すことを決意しました。しかしながら学林の試験は不合格となり、あらためて民間企業への就職をめざすことになりました。
 9 月の会社訪問解禁と同時に8社ほど回り、その時持参した履歴書にはすべて立正佼成会で高校部活動を行っていた旨の記載をしておりました。そしていよいよ面接となるわけですが、7社とも 2 次、3 次面接で落ちてしまい、現在働いている会社が最後で最終の面接となるわけです。これで落ちたらどうしようかなどと思っている暇はありません。仏さま、開祖さまを念じ面接に臨ましていただきました。今までの会社面接では一度も佼成会についての質問はなかったのですが、この会社からは佼成会の活動内容について根掘り葉掘り質問受けたことを覚えております。無事面接を終え翌日合格の連絡があり、就職活動を終了いたしました。あとからわかることですが、豊島教会で一緒に活動をしておりました A 先輩の叔父さんが勤めている会社でもありました。
 就職した会社の事業内容は、セメント等の海上輸送、港でコンテナの積みおろしを行う港湾運送事業、倉庫事業、通関事業、フォワーディングなどを行う総合物流会社であります。

現場作業員を通じた学びと東京証券取引所への上場

 1979年(昭和54年)4月入社と同時に本社経理部に配属、以降は8年ほど支店の経理部門を皮切りに、営業・現場部門で15年勤務し、2003年(平成15年)に本社経理課リーダーとして異動することになりました 。
 話は前後しますが、その2年前東京教区で東京教区教育担当者養成教育(壮年コース)を受講するお手配いただきました。初日を迎える一か月前、私自身が会社の倉庫の踊り場から梯子で地上に降りようとしたところ、かけてあった梯子がはずれ地面に叩きつけられ怪我をしたことや部下の女性が交通事故で意識不明の重体になりましたが、一命を取り止め元気に復帰したことなど、この年は受講日前後に必ず様々な現象をいただき、そのたびに教会長さんはじめ教務部長さんからご指導をいただき、自分を振り返り、今の自分を反省しそして、あらためて何をどのように実践していくのか、常に心掛けることの大切さをわからせていただきました。この学びは、上司や部下との良好な関係の構築にも大きく役立つことになりました。
 とりわけ本社経理グループへの異動前の部署である横浜の倉庫(この時は倉庫の所長)は大きな赤字が長年続き、かつ作業員との人間関係が悪化している営業所でした。
 作業員は全国組織の強固な地盤をもつ組合に全員加入し、どちらというとあまり働かず、権利だけは主張するような組合員でした。従って私も作業を滞りなく行う彼らには、腫れ物にさわるような接し方しかできませんでしたし、また作業員の顔も見たくもないという苦悩した時期でもありました。
 しかしながら教えのお陰様で、現状の問題点、課題は何かを考えたとき、組合員問題から目を逸らさずしっかりと見つめ、あらたな解決策を見いだしていくことの大切さを認識できるようになりました。そして毎週朝礼を開始し、1 日の業務の確認、安全面への配慮など、お互い様声を掛け合えるような良好な関係を構築していきました。また仕事が終わった後には食事をしながらお互い忌憚のない意見を言うことにより、少しずつではありますが作業の効率化や職場の環境改善に結びつき、一人ひとりがやる気に火が付き、赤字の縮減にもつながりました。
 さて本社の経理グループでは、東京証券取引所市場 2 部への上場に向けて様々な規定の改定など、経理としての環境整備等で大変忙しかったの覚えております。
 2006(平成 18 年)年 3 月無事上場し、上司をはじめ部下、関係者の皆さんのお陰様で大役を果たさせていただきました。そして、翌年東京証券取引所市場1部に指定されました。

社長の大役を頂いて

 その後、経理部長3年、この期間は、母が圧迫骨折で二度入院した時期でもありました。それまでは夜毎のお付き合いも仕事の内、と思っていましたが、生活習慣を変える大きな転換となりました。それは、今まで母が行っていた朝夕のお給仕は、朝早く起き私がさせていただかなくてはならず、さらにその後のご供養もあげさせていただくようになりました。
 そして生活も一変し、規則正しい普通の生活を送るようになりました。以降、執行役員2 年、取締役4年を経て、2017年4月に第 13 代目の代表取締役社長の大役を頂きました。社長としての5年間は創立100周年行事に始まり、新型コロナウイルス感染症の蔓延による企業活動や市民生活が大きな転換を余儀なく求められました。

 では、2020年からのコロナ禍の3年間の当社の業績はというと、セメント輸送は順調に推移し港湾作業も輸出入コンテナ取扱量の増加、加えてフォワーディング事業における外航船運賃市況が高く推移し、予算を上回る結果となり、特に2022年3月期には増配を達成いたしました。
 そういう中で、私自身社長として先頭に立ってあれこれと指示をだすのではなく、経営幹部、幹部職員そして職員らの自らの積極的な行動と相互理解があればこそ、このすばらしい業績を残すことができたと思います。ほんとうに皆さんに対しての感謝しかありません。
 ところで社長なりますとあらゆるところで挨拶を求められ、あるいは執筆する機会が増えます。そのような中、今まで学ばせて頂いた仏教精神、特に根本仏教の三法印で諸行無常・諸法無我をどのように伝え、あるいはどのように表現していくかでした。
諸行無常は常に変化している、会社を取り巻く環境も刻一刻と変化している、従って会社も
 そこに留まらず努力を重ね、あらゆることへの挑戦を忘れず進歩していかなくてはいけません。
諸法無我では株主様はじめお客様、協力会社、地域社会そして従業員など多くの関係者とのかかわりの中で、会社は成長、発展させていただくことができるのですから、周りへの感謝を忘れないよう心掛けました。
 また、毎年迎える新入社員に対しましては
 ①挨拶をしましょう。
 ②あたりまえのことをしっかりやりましょう。
 ➂報連相をわすれずに。この3点についてよく話をいたしました。
 これは簡単なことではありますが、実はなかなか実行できないことでもあります。私自身がご法活動を通じ諸先輩方からご指導をいただき会社で実践してきたことでした。
 これらを実践することにより人間関係を良くし、職場を明るくします。また入社後すぐ活躍できるわけではありませんが、無駄な仕事はなくその積み重ねが将来大きな仕事を成し遂げる土台になります。さらに報連相は、勝手に自分なりの行動をするのではなく上司、先輩からご指導をいただき仕事を進めることが大切であると思います。
 お陰様で社長5年間、会長として1年間は3年目で売上、経常利益は一旦落ちましたが、4年目以降は業績が右肩上がりで順調に推移し、次期社長にバトンタッチすることができました。
 また、当社のような物流関連業界は安全面において注意を払う必要がありますが、教育・訓練に力を注いだ結果、大きな事故もなく大役を果たさせていただくことができました。

まとめ

 今までのサラリーマン生活を振り返りますと、ちょうど節目節目で仏様からの様々な現象を通じて、教会長さんはじめ多くの方からご指導をいただきながら少しづつ生活習慣を変え、会社での業務に生かし、そして実践することの大切さを学ばさせていただきました。そのおかげ様で今ここ私自身がいるのだとわからせていただきました。
 さて、これからは会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上が求められます。そのためには
 ① ガバナンス(企業統治)
 ② コンプライアンス(法令順守)
 ➂ ハラスメント(人権侵害)

 これらにしっかりと対応しなくてはなりませんが、大事なことは今私たちが学ばせていただいている仏教精神こそが必要であると思います。すなわち利他の精神を基盤に会社経営を推進することが大切であると思います。
 それぞれの事業活動が「世のため、人のため」という認識を持つことにより、今叫ばれている SDGS(17 の課題と 169 の目標、世界の課題)に取り組む第一歩になると思います。
 これからも会社や六花の会のお役に立てる自分になれるよう精進してまいります。
 み仏さま、開祖さま、会長先生ありがとうございました。  合掌