04.05
【智慧の分かち合い】品川教会 小林宏至(File No.1)
品川教会 小林宏至
皆さま宜しくお願い致します。
私は、昭和三十九年五月二十一日に小林家の長男として生んで頂きました。母が勤めていた美容室のオーナーのお導きで立正佼成会に入会し、誕生と同時にご命名を頂いた信仰二代目です。
現在は、一昨年十月にお手配を頂いた新居に家内の両親、家内、五歳の那菜未と五名で暮らしております。
旅行の計画を立てる事が好きだった私は、ディズニーランドで働き、夜間専門学校に通い卒業後旅行会社に就職しました。以来三十余年間旅行業一筋に仕事をさせて頂いているのは幸せな事と思っております。
私自身の立正佼成会での活動は、十五歳の時父の葬儀にて多くの方にお世話になり、高校生の頃より先輩に多数手取りに来て頂きました。お会式の纏の練習や青梅練成会などに参加する中で、「自分が変われば相手も変わる」という物の見方考え方を教えて頂き、手取りをさせて頂く側になり、青年部副部長のお役をさせて頂き、青年総務のお役だった家内ともご法の縁で結婚させて頂きました。現在は、品川明社の事務局次長のお役と私とは切っても切れないご縁のアフリカヘ毛布をおくる運動の対外的な推進役をさせて頂いております。
私に人生の大きな一つ目の転機が訪れたのは、二〇〇六年のことです。当時教会にて平和活動担当をさせて頂いておりアフリカヘ毛布をおくる運動の推進役をしておりました。
この開祖さま生誕百年の年にアフリカエチオピアに毛布配布ボランティア隊の募集があり、参加のお手配を頂きました。当時勤めていた旅行会社では営業課長の役を頂いておりましたが、会社には許可を取り十日休暇を頂いておりました。ところが出発一ヶ月前になり休暇が取消となり一瞬目の前が真っ暗になりましたが会社を辞めてエチオピアに行く事を決断致しました。当時の恩田教会長さんからは、法を立てた選択は必ず道がつきますよとご指導頂きました。私自身、会社とのご縁はあと十年二十年かもしれない。ご法との縁は、生涯である。ご法を優先しようと決意できたのもサンガと家族の支えのおかげさまです。
アフリカ毛布ボランティア隊の故佐山隊長さんからは、イタリアの空港で会社を辞めて参加した旨をお伝えすると「得るものがあれば失うものもあるこれが無常」と教えて頂き、エチオピア毛布ボランティア隊参加という貴重な体験を得て、会社の職は失いましたが心はこれから見聞出来る貴重な体験にワクワクした気持ちだった事が思い出されます。
エチオピアから帰国後、以前より取引があった現在の前身の会社に入社致しました。その三年後、二〇一〇年秋創業者である社長が会社を年内にて閉じると通告がありました。
そこで思案した結果、一部業務を引継ぎ現在の会社を設立する決心を致しました。前会社の社員二名と計三名にて二〇一一年より現在の会社をスタート致しました。設立当初会社経営で一番苦労したのは資金繰りでしたが、備品類は引続き、業界内では前会社の業務を引継いでいることで取引がスムーズで前社長にも感謝申し上げます。
会社スタートして間もなく三月十一日に東日本大震災が発生致しました。この未曾有の大震災により当社として最初の試練が訪れました。未曾有の災害が発生して旅行出来る状況ではない為、海外・国内旅行の団体は三か月間キャンセルが続きました。六月に入り少しずつ計画した旅行は実施しようという団体も出て参りましたが、自粛する団体もあり厳しいスタートとなりました。
エチオピアにてご一緒だったご縁もあり、あるNPOの旅行手配をさせて頂いております。そのNPOの方が、東日本大震災復興支援で宮城県南三陸町のボランティアセンター運営を担っておりました。その方より二〇一一年冬になりボランティアが少なくなってきたという話を聞き、是非お役に立ちたいと心が動き、南三陸町へのボランティアツアーを実施する決心を致しました。
当初の一年は、瓦礫の除去で一年以上経過しても、線路の枕木やスーパーのカートなど大きな物が瓦礫から出てくる状況で復興にどれ程時間を要するのか見当がつかない状況でした。ツアーの中では、当時の状況と復興の状況を知って頂く為に語り部さんに乗車頂き、この大震災の教訓と命を守る事の大切さを伝えさせて頂いております。
会社設立にあたり、誓ったことは地域・社会に貢献する会社になることです。地域貢献では、地元の法人会、警察、消防関係の会に入れて頂き、地域の経営者の先輩方と共に汗をかき地域活性化に協力し交流も深めております。社会貢献の部分では被災地へのボランティアツアーとコロナ禍の現状を踏まえ東北へ行けない為、物産購入を呼びかけ一部売上を現地社会福祉協議会に寄付して法人としても徳を積ませて頂く事を心掛けております。
経営者の学びの場である六花の会には、玉木前教会長のお慈悲により二〇一五年から参加させて頂き、信仰を持つ経営者として多くの大切な事を教えて頂きました。一番印象的なのは、ベクトルを合わせるということです。社内で私が伝えた事でも一度で実践して頂けることはそう多くはありません。そこで、根気強く方法を替えて、後ろ姿で見せて伝えることが大切と感じております。
昨年は、新型コロナウイルス感染拡大により、会社も大きな困難に直面致しました。前年比の売上が九割減以上となる月も何か月もありました。助成金や制度融資を受け何とか凌いでおりますが、現状を打開する為に、東北に行けなくても美味しい物が食べれて、被災地支援になる物産販売を開始致しました。
品川教会鈴木教会長さんをはじめ、さまざまな教会の皆さまが心配し支えて頂き、お役や六花の会を通じて、仏さまの智慧を頂き、感謝の思いで一杯です。
故福永正三先生から教えて頂いた経営の七箇条の中で一番欠けていたのは、「強烈な願望を心に抱く点」だと気づかせて頂きました。現在当社は十一期目に入りましたが、当初は具体的な数字設定が甘く、どこか真面目にやってれば何とかなるという甘い考えがあったと思います。「潜在意識に透徹するほどの強く持続した願望を持つこと」と教えて頂き、自らの足りなさを反省し、コロナ禍の厳しい状況下でも、今期は必ず黒字となるように、そして、今後十年十五年と持続可能な会社となる為に、詳細な計画と強烈な願望を抱き、社業に励んでおります。
「売り上げを最大に経費を最小に徹する」点は、忙しさを理由に交渉事が疎かになったり、コロナ禍で減少しましたが地元の付き合い事が多く交際費が多く改善すべき点です。
そして最後に「常に創造的な仕事をする」という点は当社にとって一番重要な点です。
大手旅行会社では出来ないお客様本位のサービスを基本とし「まず人さま」という事を社業に転換するとお客様本位となり具体的にはお客様の旅行目的に沿って要望に柔軟に対応し最新の情報を確認し手配する事を実践しております。
品川で育てて頂いた教会長さん方からもいろいろなご指導を頂いて参りました。中でも恩田元教会長さんから頂いた「下がって下がりすぎて失敗した人はいないよ小林さん」と教えて頂いた常に謙虚な姿勢をもって社業に努めて参りたいと思います。
当社では、海外旅行及び団体旅行需要の回復までは相当時間を要する為、助成金を頂き、非対面での販売促進を目的に国内個人旅行を中心としたホームページを新設致しました。
昨年から継続しております、東北の物産販売では、当時の出射支教区さんにもご心配頂き、東京西支教区の教会長さん方にもご紹介下さいました。ある教会からは、春のお彼岸のお供物に三陸海産物を多数ご依頼頂き深く感謝申し上げます。今年からは、防災士の資格を取得し防災用品販売を開始し地元町会より、全所帯に配布する防災用品の受注を頂きました。
どんな状況でも仏様から頂く智慧を振り絞り、与えられた試練を乗り越え私自身が成長向上させて頂く為に、六花の会にて研鑽させて頂き、精進続ける事をお誓い致します。
合掌