08.04
【本のご紹介】超訳 易経 陽 ―乾為天―
この本は、中国の帝王学の書として、儒教の経典「四書五経」のトップに挙げられる経書の「易経」を、分りやすく説いている入門書である。
「易経」というと、私が、直ぐ、頭に浮かぶのは、「当たるも八卦、当たらぬも八卦」という言葉である。「易経」はシンプルに「陰と陽」の話であり、その陰と陽が交じり合って「六十四卦」の働きを顕すと言われている。その変化の法則を知れば、占わなくても、将来を見極めて自分で出処進退が判断できる。さらに問題が起きる前に、その兆しが察知できるようになる。これが、変化をいち早く察知して、先々を判断できることが、リーダーの条件と言われていた古代の時代に、「易経」が帝王学の書として位置づけられた所以である。
「易経」はすべて、たとえ話なっていて、「龍」は王様のこと、現代でいえば会社社長、代表取締役など、組織のリーダーのたとえである。
本には、なぜ、古来、龍がめでたいものとされているかを書き表している。
「龍の絵や置物を見ると、かならず雲と一緒にいます。なぜなら、龍には雲を呼び、雨を降らせる能力があるとされているからです。惠の雨を降らせることで、地上の万物を養う生き物として崇められているのです。じつはこの龍の働きがリーダーの役目を示し、雲はリーダーに従って働く人々をあらわしています。そして『雲は龍に従う』といって、龍が地上の変化を察して、呼びかけると、そこに雲が集まってきて必要なところに惠の雨を降らせます。
これはつまり、『リーダーは、組織の目的をあきらかにして、働く人をそこに向かわせ、大きな社会を循環させて貢献することが役目である』と教えています」と。
そして、物語の場面が変わるごとに、その変遷の様子をあらわした六種類の龍が登場する。龍も、はじめから力を発揮できるわけではない。六段階のプロセスを経て、すぐれたリーダーに成長していく、と述べられている。
この本ではあらわしている六段階に登場する龍は、
第1段階は、「潜龍」
地中深くの暗い淵に潜み隠れている龍です。まだ、世の中に認められる力もなく、地に潜んで志を培う時である。
第2段階は、「見龍」
明るい地上に現れ、世の中が見えるようになります。修養のはじめとして、師を見習って
物事の基本を学ぶ。
第3段階は、「乾惕」
毎日同じことを繰り返して修養に励みます。技と応用力を身について、日進月歩の成長をするときである。
第4段階は、「躍龍」
修養を極め、リーダーになる一歩手前の段階です。独自性を持って、今まさに大空へ登ろうと躍り上がる。
第5段階は、「飛龍」
リーダーとしての能力を発揮し、志を達成する。
第6段階は、「亢龍」
高みに登りすぎた龍は、やがて力が衰えて、降り龍になる
リーダーの成長の王道を語るとともに、栄枯盛衰の道理も教えている。
そして大事なことは「時中を観る」ことであると教える。詳しくは、是非、本を手にとってお読みいただきたい。
本のご紹介
―乾為天―
著・竹村亞希子単行本(ソフトカバー)
本体価格 1600円+税
株式会社 新泉舎