2020
06.24

【本のご紹介】一瞬で笑わせる技術-相手ともっと打ち解けるためのコミュニケーション

つなぎあい

 著者の川堀泰史さんが上梓した3冊目の本である。3冊に流れるキーワードは、一貫して「ダジャレ」。「ダジャレ」と聞くと、私事であるが、昔、尊敬する先生の「ジョーク」を、先生の前で、「先生の『ダジャレ』は素晴らしい」と話したら、周りの先輩から「先生の『シャレ』を、ダジャレと言うとはッ!」と、お叱りをいただいたことを思い出す。当時は、「シャレ」と「ダジャレ」の違いも分からなかった。「シャレ」も「ジョーク」も、すべて、「ダジャレ」だと思っていたのだから仕方がない。
 川堀さんは、「ダジャレ」について、「今、働き方改革が喫緊の課題として方々で叫ばれています。長時間労働の是正や同一労働同一賃金などは物理的な取り組みですが、職場のコミュニケーションを良くするという精神的な取り組みも極めて重要な働き方改革です」。そして、「コミュニケーションが良い働きやすい職場の私なりの判断基準は『朝起きたらいきたくなる』のかどうかです。時には誰かが言ったダジャレで笑いが起きている明るい笑顔が溢れている職場はきっと働きやすい、朝起きたときから楽しくて行きたくなる会社に違いありません」と語っている。現「六花の会」顧問の國富敬二氏は、過去、WCRP世界宗教者平和会議日本委員会事務局長就任時に、「朝起きたら行きたくなる事務所にします」と、挨拶されている。同じだ。
 川堀さんは言い切る。「天台宗に『一隅を照らす』という教えがありますが、私にとってはまさに職場の一隅を照らすツールが『ダジャレ』でした」。
 日本経済新聞社に入社し、広告部門での会社生活をスタートさせたが、10年後、突然、営業職に異動となる。それまでの横柄な態度を改め、コミュニケーションの良い人間に変身することを決意。そのコミュニケーションを取るのに威力を発揮したのが「ダジャレ」だったと語る。その後、その積極的なコミュニケーションで、社内外に人脈を広げ、数々の重責を歴任。最終的には、日経グループの広告会社日本経済社社長、日本経済新聞社顧問まで経験する。2016年、退任し、それまで積み重ねた「ダジャレ」のノウハウや効能をまとめたのが、著書だ。
 川堀さんは、この本で「社内のコミュニケーション活性化を管掌する役員としてCHO(Chief Humor Officer=最高面白職場責任者)などを置ければ理想的です」と、世の中に提言している。
 本を読み終えたとき、この提言を受け入れる企業が、いまの世の中を、生き残れるかもしれないと、素直に想えた。いや、そういう世の中になって欲しいとの願いになったのだから、不思議な本である。ぜひ、多くの方に読んでいただきたい。特に、企業経営者には。
 さて、冒頭に書いた尊敬する先生の「ダジャレ?」を紹介して終わりとしたい。
 ある年の3月、まだ肌寒い日に、秘書が先生に「寒いのでコートを着るように」と、歩きながらコートを差し出すと、先生は一言、「もらってコート」。
 これが「シャレ」か「ダジャレ」かの判断は、皆さんにお任せしたい。

川堀さんの主な著書:
「明日使える仕事術 笑談力~思わず微笑むダジャレ108選~」
  (2016年 ビジネス教育出版社)
「働く方・働く場改革 人と職場を活性化する 笑談力・考動力」
  (2018年 ビジネス教育出版社)

ブログサイト「ホッと家の縁がわ」でも、川堀さんの本が紹介されている。こちらも一読願いたい。
http://hotke.jp/

本のご紹介
『一瞬で笑わせる技術-相手ともっと打ち解けるためのコミュニケーション』
著・川堀泰史

四六判・並製/192頁
本体価格 1,500円+税
WAVE出版