2021
06.25

【本のご紹介】中国古典「家訓集」 父親から息子へ送る言葉

つなぎあい

 「六花の会」の講師であった福永正三先生が亡くなられた際、形見分けとしていただいた本である。
 収められた家訓は、中国は周の周公旦から清の會国藩まで、17人の遺訓である。

 著者の守屋洋さんは、17人の遺訓で共通する点を五つ挙げている。

1. 謙虚な生き方を心掛けよ。
2. 自己啓発を怠るな。
3. 志を持て。
4. 生活は質素に。
5. 目立たず出しゃばらず。

 ついで、「現代は、変化の時代であり、断絶の時代だといわれる。世代を異にすると、コミュニケーションが成り立ちにくい。しかし、そういう時代だかこそ、伝えるべきものはちゃんと伝えていく必要がある。それを怠ると、次の世代がまた同じ失敗をすることにもなりかねない」と語っている。
 
 どうも、父と息子のコミュニケーション問題は、いつの時代も同じなようだ。そして、伝えるべきこともまた、同じのようである。
 興味ある方は、是非、同書をお読みいただければと思うが、目次タイトルだけでも十分にお分かりいただけると思う。

 「驕ったまねをするな」
 「学問をおろそかにするな」
 「口を慎め」
 「息子よ、じっくり自分を磨け」
 「「和」を大切にするがよい」
 「兄弟仲良く暮らして欲しい」
 「親の恩を忘れるな」
 「陰口は聞いても聞かぬふり」
 「富貴になっても人を見下すな」
 「慢心、偽心、妒(ねたむ)心、疑心を捨てよ」
 「批判には謙虚に耳を傾ける」
 「自分には厳しく、人には寛容に」など

 その言葉や考え方は、現代の父と息子の間にも必要なことであるが、この遺訓は経営者の跡継ぎ問題にも当てはまると思うのは、私だけだろうか。

本のご紹介
中国古典「家訓集」 父親から息子へ送る言葉
著. 守屋 洋
定価 1,388円(税込み)
プレジデント社