09.10
【本のご紹介】ももクロ非常識ビジネス学-アイドル界の常識を覆した47の哲学
東京に初めて緊急事態宣言が発令された2020年4月。私は、感染の恐怖におびえ、家に引きこもった。
読書とオンデマンド動画にも飽きてしまい、未知の世界を知ろうと思い立ったのがアイドル=ももいろクローバーZ(以下、ももクロ)だった。
アイドルは、モーニング娘。、少女時代、AKB48とかじってきたが、ももクロの歴史をたどると、パフォーマンス力や企画力に圧倒されていった。
2014年には旧国立競技場で11万人を動員しての単独公演。同競技場では、SMAP、嵐など4組が単独公演をしてきたが、女性グループでは初めてとなった(その後、AKB48も実施)。
世の中には様々な業界があるが、最大激戦競争のひとつはアイドル界だろう。本書は7年間、ももクロの密着取材をした小島和弘氏が、その「非常識」なビジネス展開に驚き、アイドル本ではなく「ビジネス書」の体裁でまとめあげたものである。
小島氏は「非常識の裏にある確固たる信念」と綴るが、その信念のひとつが「逆境こそがチャンス」。チャンスを絶対に逃さないことだ。
2015年、ももクロはそれまで3年連続で出場した『NHK紅白歌合戦』に落選した。とてつもない逆境だが、即座に「紅白を卒業します」と宣言。翌日のスポーツ紙は、初出場組の記者会見よりも『ももクロ紅白卒業』の記事が大きく掲載された。そして、大晦日にカウントダウンライブを開催。紅白の真裏で、地上波U局、BS、CS、ネット中継と、さまざまなメディアで同時生中継を成功させた。
ももクロよりも大きな成功を収めているアイドルグループは、もちろんある。本書を読んで驚くのは、これだけ有名になっても、ブレイク前と変わらない確固たる信念を持ち続けていることだ。
コロナ禍で、経営者はかつてない試練を受けている。ももクロのビジネスを成功させる確固たる信念は、この時機に学ぶ価値がある。
本のご紹介
著・小島和弘
B6判/231頁
本体価格1,389円+税
ワニブックス