05.01
【本のご紹介】熱くなれ 稲盛和夫の魂の瞬間
稲盛和夫氏の書籍は、『生きる』や『京セラフィロソフィ』をはじめ数多く読んできたが、本書の読み応えは格別だ。
タイトルが強烈である。
「熱くなれ」
これだけで、稲盛氏のメッセージが、ガツンと己の胸に飛び込んでくる。
帯には「人間・稲盛和夫を直に知る13人が語り下ろす、その情熱と凄まじい魅力」と、書かれてある。
そして、「自ら燃えれば、人生が輝く」とも。
本書は、テーマに沿った稲盛氏の講演を掲載。ついで、共に経営を生き抜いてきた13人の想いが綴られ、同氏の講演を数十倍にも輝かせている。
そして、京セラの創業やJALの再建以上に、稲盛氏の最大の功績は「人づくり」だったと思わせるのだ。
感動した部分に付箋を貼ったが、沢山ありすぎて、とても紹介しきれない。
経営者ならば、目次だけでも「熱くなれる」と信じて、紹介したい。
第1章 講演 「仕事に喜びを見出す努力をする」
インタビュー 京セラ株式会社 創業メンバー 元会長 伊藤謙介
「会社を強くしたのは、一人ひとりの素直な心」
第2章 講演 「強烈な願望を持つ」
インタビュー 京セラ株式会社 創業メンバー 元専務 浜本昭市
「正しい願望だったからこそ、うまくいった」
第3章 講演 「情熱で戦う」
インタビュー 日本電産株式会社 代表取締役会長 永守重信
「この人を目指していけばいいんだ、という人に出会えた」
第4章 講演 「恩義に報いる」
インタビュー 西枝一江氏子息 京セラ株式会社 元監査役弁護士 西江 攻
「好きでやったんでしょうね、お互いに」
第5章 講演 「熱を伝える」
インタビュー 京セラ株式会社 元副社長 KDDI株式会社 元副社長 山本正博
「みんなの力でやるから、会社は強くなる。大きくなる」
第6章 講演 「心を一つにする」
インタビュー 公益財大法人稲盛財団 元総務部長 理事長秘書 片岡登紀子
「行事の当日を迎えると、大きな一体感が生まれる」
第7章 講演 「渦に巻き込む」
インタビュー 日本航空株式会社 元意識改革推進部長 野村直史
「リーダーの意識改革こそが、JALを変えた」
第8章 講演 「原理原則を貫く」
インタビュー 京セラコミュニケーションシステム株式会社 元専務取締役
近藤 徹
「稲盛流が、共産主義に通じた」
第9章 講演 「相手を尊重する」
インタビュー 京セラ株式会社 元常務 京セラミタ株式会社 初代社長
関 浩二
「再生の本質は、どう喜ばれるか、どう感動させられるか」
第10章 講演 「世のために働く」
インタビュー 京都大学iPS細胞研究所 名誉所長 山中伸弥
「重さを感じた、『人類に対する貢献』という観点」
第11章 講演 「大義を持つ」
インタビュー KDDI株式会社 代表取締役社長 高橋 誠
「通信事業が軌道に乗っても、チャレンジはさらに続いた」
第12章 講演 「使命を果たす」
インタビュー 日本航空株式会社 元取締役副会長 藤田直志
「業務報告会では、何人の幹部が退場させられたか」
第13章 講演 「後進を育てる」
インタビュー サッカー元日本代表監督 FC今治 代表取締役会長 岡田武史
「利他の心と売る上げ追及は、なぜ矛盾しないのか」
各講演のテーマのあとにも、その趣旨をコンパクトにまとめた言葉がある。全てを紹介できないが、第13章の言葉を紹介したい。
「私というものを踏み台にして伸びていってほしい」
これが、昨年(令和4年)8月24日に帰天された稲盛氏の、私たちへの最後の強烈なメッセージであると受け止めている。
稲盛氏の著書から、私たちは、経営者としての多くのことを学んだ。
これからは、学んだことをひとつでも実践することが大事だと考えている。
今からでも遅くはない。
「六花の会」の使命は、会員一人ひとりの実証による「六花の会」フィロソフィを創発することにあるのだ。
本のご紹介
編著 稲盛ライブラリー+講談社
「稲盛和夫プロジェクト共同チーム」
講談社
定価1,900円(税別)