01.19
【本のご紹介】トリがとぶ!ダジャレがとぶ! よりドリみドリのトリビューン(特別席)
わが国では、ウグイスは「ホー、ホケキョ」と鳴いているように聞こえ、法華経を想起させることから「経読鳥(キョウヨミドリ)」の異名を持つ。さらにその経読鳥(ウグイス)の中で特に鳴き声の優れた個体は「ムジドリ」とも呼ばれた時代があった。この「ムジドリ」とは法華経の経文にも登場する「無尽意菩薩」にあやかって付けられた異名らしい。どうして「ムジドリ」は「無尽意菩薩」にあやかって付けられた異名なのか。筆者がいろいろと推量する。
これは本書の第6章「トリと神仏」の中の、「仏教の中のトリ」で書かれている一文である。
「トリがとぶ!ダジャレがとぶ! よりドリみドリのトリビューン(特別席)」というタイトルだけを見ると、ダジャレクリエイター歴50年の筆者ならではのダジャレが利いているが、この冒頭に紹介した一文を見ても、本の内容は決してダジャレに終始した「笑いのコミュニケーション」だけを扱ったものではないことがわかる。本書はダジャレクリエイター歴を超える、60年のバードウオッチャー歴を持つ筆者が、トリ(鳥)について各方面からまじめに取り上げた内容となっている。「親子で楽しくまじめに読める ダジャレまじりのトリのお話」というサブタイトルも付いている。
各章のポイントを以下で簡単に紹介する。
第1章は筆者の子どものころのトリたちとの交流の情景が、第2章は大人になってからの情景が、具体的なトリの種類を挙げながら「トリ歴」として数多く描かれている。
第3章は「トリはなぜ鳴くのか」をわかりやすく解説。トリのさえずりが西洋の音楽に与えた影響なども明らかにしている。
第4章、第5章は「トリと人との関係」が「トリへのあこがれ」「トリの恩恵」をキーワードに書かれている。
第6章は冒頭でふれた「トリと神仏」について。ギリシア神話や北欧神話、日本神話などに出てくるトリたちを紹介。日本書紀に登場するトリの種類の何と多いことか。
「仏教の中のトリ」では「浄土の六鳥」やチベット仏教の偽経典である「鳥の仏教」、そして法華経に登場するトリなどについても記している。
第7章は「トリがあぶない!」。人の行為、共業(ぐうごう)の影響もあってすでにこの地球上で絶滅してしまったトリや、絶滅が危惧されている種を取り上げ、人によるトリの保護、共生の必要性を訴える。
章末には、筆者が散歩がてらのバードウオッチングの最中に思い付いて創作した「楽しいトリの友情物語」も特別収録されている。「親子で楽しく読める」という本書の構成要素のひとつとなっている。
トリがトリ持つご縁で「親子の絆(きずな)」が深まる、トリと人との関係を俯瞰(ふかん)できるトリビューン(特別席)となる可能性がある一冊と言える。
千葉教会 川堀 泰史
本のご紹介
著・川堀 泰史(ダジャレクリエイター バードウオッチャー)
定価 1320円(税込み)
ビジネス教育出版社