07.05
【本のご紹介】「人生の王道」 ―西郷南洲の教えに学ぶー
この世で、さまざまな分野で名を成す人には、必ず、自己啓発のキッカケとなる本があるものだと考えている。世界中では、多くの偉人の本を数えることができる。全てを読みつくすのは不可能であるが、その本を可能な限り読み進めていくと、ある共通点があることに気がつく。
その共通点とは、その人の人生の物語の中で、「愚痴を言わない」「悪口を言わない」そして「おべっかを言わない」という生きざまが描かれていることだ。そして、その人の人生に影響を与えた人が必ずいたということである。
稲盛和夫氏の本は、数多く読ませていただいている。その本に共通しているのも、上記の3つであると私は感じているし、その影響を与えたのが同郷の西郷隆盛であると信じている。
幕末、そして明治維新を迎えた日本の歴史を駆け抜けた西郷隆盛は、「無私」の人であったと私は想う。その「無私」の精神が、「愚痴・悪口・おべっか」を言わないという西郷隆盛の人格を作り上げたのだと考えるのだ。
「かつて、とびきり美しく温かい心をもった、ひとりの上質な日本人がいたことを思い起こすのです。それは西郷隆盛です。西郷の生き方、考え方こそが、日本人が本来持っていた『美しさ』『上質さ』を想起させるのです」
稀代の経営者として、その名を遺した稲盛氏が、「とびっきり美しく温かい心をもった上質な日本人」として西郷隆盛の生きざまを経営の指針にしていたのである。
つまり、経営には「とびっきり美しい心をもつ」ということが大事であると語っているのだ。その魂からの訴えは、章立ての小見出しに顕われている。
数多くあるが、一部を掲載する。
第1章「無私」人の受けに立つリーダーは私利私欲を捨てて正道を歩め
第2章「試練」謙虚な心で人の意見に耳を傾ける
第3章「利他」欲望・怒り・愚痴の三毒を意思の力で抑える
第4章「大義」京セラの社是として「敬天愛人」を掲げる
第5章「大計」明確なビジョンを打ち出す
第6章「覚悟」「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人」
第7章「王道」正道を踏んで勇気をもって交渉に当れ
第8章「真心」純粋な真心をもつ至誠の人になれ
第9章「信念」心の在り方、考え方の大切さを表した「人生の方程式」
第10章「立志」すべては「思う」ことから始まる
第11章「精進」常に自分を反省し、ど真剣に生きる
第12章「希望」「地獄と極楽は人の心の違いにあり」という老師の教え
その他は、是非、本を読んでいただいて確認することをお薦めする。
この本は、経営者に対して書かれた本ではあるが、全ての人に通じる人生の指南書のような内容である。そこから私は、本物の経営論とは、ビジネスマンだけに通じる内容ではなく、全ての人が、自分の生き方の参考になるような理論であるべきだと考えるのだ。
私は、この本を読んでからは、「とびっきり美しく温かい心をもった上質な日本人」と言われるような「六花の会」の参加者の一人になりたいと願っている。また、こうした話し合いができる「六花の会」にしていきたいと考えている。
是非、皆さんに読んでいただきたい一冊だ。
本のご紹介
―西郷南洲の教えに学ぶー
稲盛和夫著
本体1700円(税別)
日系BP社