2018
12.16

庭野日敬『経営者心得帖』 六花の会[編]

つなぎあい

平成30年12月、企業の社長や個人事業主の会員を対象に第1回「仏教精神に学ぶ経営者の集い」が行われた。参加者約2200人に配られたのが、本書である。以降、各地で実施される「六花の会」の勉強会で活用され、好評を頂戴している。縁あって制作に携わった一人として、ご愛読くださっている皆さまに深謝申し上げたい。

本書の誕生について、少々触れさせて頂く。
「経営に特化した(庭野日敬開祖の)法話集を発刊する」
まことしやかに囁かれていた噂が現実のものとなり、図らずもその任に就くことになった。「実際の制作期間は、3カ月。『仏教精神に学ぶ経営者の集い』の参加者に渡すため、11月中に完成させること」。驚愕した。しかも、主たる編集者は4人。全員が他の職務を持ち、専従ではないという。ムチャ振りにも程がある。読者の皆さまには申し訳ないが、陰鬱な気分になった。それが、つくり手のスタート時の本音である。
ついでにもう一つ。読者の方から、「どのようにしてご法話を選んだか」を頻繁にお尋ね頂く。せっかくなので、お答えしたいと思う。まず、本書のキーワードとなりうる「経営」や「リーダー」「働く」などの単語をピックアップした。その上で、ご法話を収蔵したデータベースから、この50の単語を含む約300本のご法話を抽出。何度となく編集会議で喧々諤々を重ね、およそ半数にまで絞り込ませて頂いたわけである。

さて、前置きがかなり長くなったが、肝心要の内容について紹介したい。
本書は、6章で構成されている。自らにも、また他にも利益を生じさせるご法話をまとめた「第一章 他を利するは自らを利す」、経営者としてのあり方を示した「第二章 リーダーの器量で事業を導く」、困難を仏の慈悲として感謝で受けとめ、乗り越えていく智慧を伝える「第四章 逆境に手を合わせる」など、経営者が求められているとされる姿勢やさまざまな場面に分けた章立てとなっている。従って、読者がその瞬間に向き合っている課題や、知りたいことに関する頁を開いて頂ければ、珠玉の言葉が迎えてくれる。
掲載されているご法話は、全148編。出典元は、機関紙『佼成』や『新釈 法華三部経』をはじめ、庭野開祖のご著書である『庭野日敬自伝』『脚下照顧』『みえないまつげ』『人生の杖』など多岐にわたる。昭和40、50年代に発表された原典が多くを占めるものの、どれほど時代が移り変わっても、庭野開祖が語りかけるお言葉は普遍性に満ち、時代を問わない不変の指針を示してくれるだろう。
経営者のみならず、すべての働く方々にお勧めしたい一冊である。

※お求めをご希望の方は、立正佼成会常務理事室「六花の会」事務局
℡03-5341-1195まで。一冊3,000円(発送費用含む)